2022 FIM世界耐久選手権 第3戦“コカ・コーラ ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会
2022 FIM世界耐久選手権 第3戦“コカ・コーラ ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第43回大会
三重県・鈴鹿サーキット(1周=5.821km)
2022年8月
4日(木):公式車検
5日(金):公式予選
6日(土):TOP10トライアル
7日(日):8時間耐久 決勝
観客動員数:44,000人(4日間合計)
Team ATJ with 日本郵便 #40
高橋裕紀/小山知良/伊藤和輝
予選:18番手(best:2分08秒518 average:2分09秒275)
決勝:8位(208周)
岩田の想いを乗せて走った8時間!レース終盤の追い上げで8位フィニッシュ!
岩田の想いを乗せて走った8時間!レース終盤の追い上げで8位フィニッシュ!
日本最大の人気を誇る鈴鹿8耐が、3年振りに開催された。
2020年、2021年と新型コロナウイルスの影響で中止となっており、その間、T.PRO日本郵便ファミリーでもある岩田悟は、Team ATJから全日本ロードレース選手権の最高峰JSB1000クラスを戦っていた。
鈴鹿8耐でTeam ATJと日本郵便Honda Dream TPがコラボレーションする話は出ていたが、鈴鹿8耐自体が中止となってしまっており、ようやく2022年に実現する形となった。
日本郵便も応援してくださり、Team ATJ with 日本郵便として岩田をエースに小山と高橋が加わる形となった。
6月、7月と事前テストがあり、基本は岩田の仕様に2人が合わせる方向でマシンセットを進め、いい手応えを感じることができていた。
小山は、岩田とも高橋とも鈴鹿8耐に出た経験があり方向性は分かっている。
何より幼少の頃からの知り合いでもある3人のコンビネーションは抜群だった。
エースライダー岩田がまさかの陽性
エースライダー岩田がまさかの陽性
しかし、レースウイークを迎える前に今回は必ずPCR検査を受け陰性証明を出さなければならなかったのだが、岩田がまさかの陽性。
家の近くのクリニックで受けたのだが、全くの無症状だった。
チームは、岩田の出場の可能性と代役を立てることが可能かを確認。
代役にはT.PRO日本郵便ファミリーの伊藤和輝に白羽の矢が立った。
伊藤は、すぐにPCR検査を受け陰性となり、鈴鹿へ向かった。
今回の鈴鹿8耐は、火曜、水曜にテスト走行があり、長いレースウイークとなっていた。
さらにATJのテレメトリー担当も濃厚接触者となってしまい現地に来られず、全日本で高橋を担当しているモリワキの小畑氏が、当初はサポートで入る予定がメインで作業することになっていた。
岩田が走れないことを想定し、すべての作戦を練り直す。高橋がベースセットを作り、伊藤にはマシンに慣れてもらう。
小山は、燃費のいい走りができるため、ラップ数を伸ばす方向で進めていった。
木曜の時点で岩田が予選を走ることができないため、正式に欠場が決まると高橋と小山が予選でタイムを出す担当となっていたのだが・・・
金曜の公式予選は、各ライダー2セッションあり、2人のベストタイムのアベレージでポジションが決まる。
まずはライダーブルーの高橋が1回目のセッションに臨んだ。
高橋が予選、2分08秒518をマークし15番手につける
最初のアタックでは、うまくクリアラップが取れていたが、最終シケイン立ち上がりで前のライダーが失速しタイムロス。
それでも2分08秒518をマークし15番手につける。
続いてライダーイエローの伊藤は、2分10秒221で18番手につけ、ライダーレッドの小山の番を迎える。
しかし、コースインした直後に雨が降ってきてしまいピットに戻り、1回目のセッションはノータイムのまま終了。
不安定なコンディションの中、トップのライダーは2分10秒台を出しており基準タイムをクリアしたのは僅か10台というセッションとなっていた。
予選2回目をドライで走ることができなければ決勝を走れない可能性もあった。
その小山の2回目のセッションを前に、雨が降り出してしまう。
スリックタイヤを履いたライダーたちは、我先にとピットロード出口に集まり、コースインしていく。
小山は、リスクのある状況ながら何としてでも基準タイムをクリアすべくアタックし、無事に予選を終えている。
高橋と伊藤のベストタイムのアベレージでは、総合で18番手と臨んでいたポジションではなかったが決勝に向けて気持ちを切り換えていた。
土曜日のフリー走行で燃費を確認したかったのだが、赤旗続きとなってしまい、計ることができないまま決勝を迎えることになってしまっていた。
そのため、最初のスティントで燃費を確認することを決めていた。
Team ATJとしても過去最高位タイの8位フィニッシュ!
スタートライダーは高橋が担当。
スタートは、まずまず決まりポジションを上げる。
2周目には、前でアクシデントが発生し、セーフティカーが導入される。
リスタートには、細心の注意を払いながらペースを上げていく。
そして27周をこなしてピットイン。
ここでデーターロガーからSDカードを抜き、燃費を確認。
7回ピットでいける確信を得ていた。
伊藤は、代役として着実に周回を重ね、小山は、燃費のいい走りを生かし29周をこなし追い上げに貢献。
レース終盤には、前を走っていたチームに高橋が追いつき、小山の最後にスティントで追い越してポジションを8番手に上げると、そのまま8位でゴール。
Team ATJとしても過去最高位タイの結果を残したのだった。
高橋裕紀コメント
長く、いろいろなことがあったレースウイークでしたが、チームのみんなが頑張ってくれました。
Team ATJとT-PROのコラボレーションチームでベストを尽くせたので充実した鈴鹿8耐になりました。
結果は8位でしたが、みんなでつかみとった、うれしい8位でしたね。
和輝くんには、いい経験になったと思いますし、岩田選手とも走りたかったですね。
チームを始め、ご協力いただいた皆さんに感謝いたします。ありがとうございました!
小山知良コメント
エースライダーの岩田選手が離脱することになり、作戦を変更しなければならないことが、数多くあった中でチームベストタイの8位でゴールできたことは、よかったと思います。
タラレバは、いっぱいありますけれど、バタバタのレースウイークだったわりには、集中して走ることができましたし、大きなミスもなかったので、いいレースだったと思います。
伊藤和輝コメント
まずは無事にゴールできてホッとしています。
先輩ライダーが作ってきたバイクに乗らせていただき、すごくいい経験になりましたし、ブリヂストンタイヤも初めてだったので、攻めることよりも、慣れることに専念しました。
チームのために自分のやるべきことを、全力でやろうと考えて走りました。
大きな経験をさせてもらい、成長できたことと課題が見つかったので、今後のレースに生かしていきたいです!
手島雄介コメント
まず日頃よりご支援いただいております日本郵便株式会社、Honda Dream、NTTコミュニケーションズの皆さまを始め、多くのスポンサー様に御礼申し上げます。
今、世界ではコロナをはじめ、戦争等でたくさんの方々が苦しい思いをされている中、我々はレースに参戦させてもらえていることに感謝申し上げます。
3年ぶりの8耐になった今大会にはある思いを持ってATJ様と組ませて頂きました。
それは「仲間」でした。
耐久レースならでは複数人で組んで走る8耐は「仲間」を表現するのにいい。
アスリートは小さいころからライバルをもって共に成長することが多く、今回の岩田選手、小山選手、高橋選手も同様。
共に成長してきた選手同士が表現するレースを皆様に見て頂きたい気持ちが強かったです。
大会的には岩田選手が欠場となり残念な思いからスタートした感はありましたが、皆様の応援のおかげで結果はチームベストリザルトの8位でゴール。
チーム母体のATJ様に日本郵便Honda Dreamのメカニックとライダーが合流して出来た体制の中、今回の結果は普段全日本選手権で共に戦っている日本郵便Honda Deramのライダー、スタッフの仲間がとても強かったことが改めて認識できた結果です。
どんな時も苦難から逃げるではなく、受け入れたうえでベストを尽くしきれるメンバーを誇りに思います。
8月末には全日本後半戦がスタートします。
引き続き宜しくお願い致します!